続可能な開発目標(SDGs)に照らしたハイレベルマッピング
グリーンボンド及びソーシャルボンド: 持続可能な開発目標(SDGs)に照らしたハイレベルマッピング
2018 年 6 月
はじめに 本文書は、発行体、投資家及び債券市場参加者が、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリテ ィボンド又はそれらの発行プログラムの資金調達目的を持続可能な開発目標(SDGs)に照らして評価す るための、大まかな枠組みを提供することを企図している。この何年かの間に国際的な政策が整備され てきた中で、国際資本市場には、投資と SDGs の達成とを結び付けようという機運が生じてきた。このよ うな機運の高まりを受け、多くの機関や団体によって、SDGs を投資対象とする考え方を示す取り組みが なされている。本ガイドは、公共及び民間部門の発行体や投資家が、グリーンボンド、ソーシャルボンド、 サステナビリティボンドの発行及び投資を SDGs に照らして評価できるように作成されたものである。 本文書で行うマッピングは、気候変動の緩和及び社会的課題の改善にグローバルに貢献するような債 券による資金調達の促進を図る上で、「グリーンボンド原則(GBP)」、「ソーシャルボンド原則(SBP)」及び 「サステナビリティボンドガイドライン(SBG)」(合わせて、以下「原則等」という)を補完するものである。本 文書はプリンシプルズ ・リソース ・センターにて公表されている 、「Working Towards Harmonized Framework for Impact Reporting for Green Bonds(グリーンボンドのインパクト・レポーティング)」(2015 年) や廃水や資源効率に関する各種ガイダンス1等、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボ ンドによって資金調達が行われるプロジェクトのインパクト・レポーティング及び期待される成果の公表を 総合的に支援することを目的とする他の文書と合わせて検討されるとよいだろう。
加えて、本文書の利 用者には、補完資料として作成したスプレッドシートも役立つであろう。同スプレッドシートは、SDGs の各 ターゲットに対応する原則等における適格事業区分を紐づけ、詳細にリストアップしたもので、本ガイダ ンスを補完するために作成されている。 背景 持続可能な開発目標(SDGs)を実現するためには、莫大な額の資金調達が必要になる。インフラ開発へ の投資(インフラ開発は経済転換及び持続可能な成長への大きなボトルネックである)だけでも、全世界 で年間 5 兆ドルから 7 兆ドルの資金ニーズがある2。これらの投資は、12 兆ドルの市場機会をもたらすと ともに、3 億 8,000 万人分の新たな雇用を生み出すと予想される3。現在、1 兆ドルから 1 兆 5,000 億ドル とされる年間インフラ支出合計額のうち、最大で半分までが民間投資によって賄われている4。それに対 し、OECD 諸国においては、機関投資家が約 100 兆ドルの資金を運用しているが、そのうちのごくわずか な割合しか持続可能な資産には投資されていない5。グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリテ ィボンドは、持続可能性を強調した伝統的金融商品として、民間投資を持続可能なインフラや必要不可 欠なサービス等に振り向ける上で役立っている。これらの金融商品によって、債券投資家からの投資が 増加し始めているのである。